2008年05月19日
シャガール展
日曜日でとても混んでいましたが、「シャガール展 色彩の詩人」を観てきました。混雑の中、流れに沿い、周りの人を気にして窮屈さを感じながらも、だんだん作品の魅力に引き込まれていきました。
絵を鑑賞している間、ずっと頭の中にあったのは、ミュージカル映画「屋根の上のバイオリン弾き」でした。迫害されるロシアのユダヤ人、牛乳屋の主人公一家が追われて後にする故郷アナテフカと、シャガールの描く故郷ヴィテブスクが重なりました。「屋根の上のバイオリン弾き」とは、危なっかしくもその日を暮らすユダヤ人の例えとして、映画の中に象徴的に登場します。シャガールの絵の中にも度々バイオリン弾きが登場していました。
1914年に描かれた「ヴィテブスクの街の上・下絵」の、空を浮遊する男について、図録には次のように説明がありましたが、これに似たような人物が映画の中にも出てきたような気がします。
・・袋を背負い髭を生やしたユダヤ人男性が屋根の上に浮かぶ姿は、古代イスラエルの予言者エリヤと見ることが出来る。エリヤは、乞食の姿をしながら貧しい人々に背の袋に詰めた贈りものを分け与えると信じられていた。シャガールは、少年時代に父親に命じられて家の戸口を開け、エリヤを招き入れようとしたことを自伝に記している。シャガールは、この浮遊する人物の中に、さまよえるユダヤ人という意味と貧しくとも高潔、慈愛、強い意志などユダヤ人の現状とその精神性をなぞらえたものと考えられる。
故郷の生家の居間に掛けられていた振り子時計、さまよえるユダヤ人、ヴィテブスクの町並み、牛、鶏過去に出会った人や風景が現在に同時に存在するシャガールの絵。時は刻々と過ぎ、すべてのものは変化するけれど、人の脳の中には過去の経験への想いが同時にあって、人格とか意志とかに影響している、そんなことを感じました。
1915年から1939年頃までに手がけられた4つの版画集の銅版画が、色彩に溢れた戦後のリトグラフとは趣が違いますが、とてもいいなと思いました。
静岡県立美術館で25日までの開催です。
Posted by マルウチ at 14:38│Comments(2)
│散歩
この記事へのコメント
シャガール展、私も見てきました。
抱き合いながら、空を飛ぶイメージが好きで、シャガールファンです。
パリオペラ座のシャガールの天井画も有名ですが、
マルロー文化相が依頼したそうで、そんなに古い作ではないのには驚きました。
蛇足ですが、一階の草間弥生のインスタレーション「水上の蛍」は?でしたね。
抱き合いながら、空を飛ぶイメージが好きで、シャガールファンです。
パリオペラ座のシャガールの天井画も有名ですが、
マルロー文化相が依頼したそうで、そんなに古い作ではないのには驚きました。
蛇足ですが、一階の草間弥生のインスタレーション「水上の蛍」は?でしたね。
Posted by kittsan at 2008年05月20日 09:18
シャガールは1985年に98歳で亡くなっているんですね。
晩年まで精力的に活動していたんですね。
「水上の蛍」夫が興味がなく、観てないです。
晩年まで精力的に活動していたんですね。
「水上の蛍」夫が興味がなく、観てないです。
Posted by マルウチ
at 2008年05月22日 18:54
