2014年03月09日

映画「うたうひと」

映画「うたうひと」







「なみのおと」

「なみのこえ」

「うたうひと」



酒井耕・濱口竜介両監督が東日本大震災の被災地で、
2年の歳月をかけて丁寧につくられた東北三部作である。
しかしここに、被災の風景はほとんど現れない。
あるのはただ、語ること、そして聞くことだ。

「なみのおと」「なみのこえ」では、
夫婦、親子、兄弟、姉妹、同僚といった親しい関係にある人々が、
あらためて、それぞれ相手と向かい合い、震災と向かい合い、話を交わす。
通常は生涯を通じて出会うこともなかっただろう強烈な体験が引き金となって、
彼らの対話は人間関係の本質に深く触れはじめていくのである。

一方、「うたうひと」は東北の民話語りを題材に、
みやぎ民話の会、小野和子の活動を追ったものだ。
震災を直接追ったものではないが、人はすぐにも「なみのおと」「なみのこえ」と通底し、
呼応しあう、まったく同じ「態度」を見て取るだろう。
語ることと聞くこと。聞くことと語ること。

今、もっとも忘れてはならないひとつの態度を、
この三部作は語りかけようとしている。

パンフレットより





三部作の中の、「うたうひと」を観ました。

東北の各地に伝わる民話を語り継いできた語り手たちが、
みやぎ民話の会・小野和子さんの求めに応じるかたちで語りはじめます。

幼い頃から繰り返し聞いて身体に蓄えられた物語が、
自身の暮らしの話とともに語られていきます。

民話が生まれる背景には、
東北の厳しい暮らしと、
家族との密な関係があったことが明らかになっていきます。

真摯に聞く人の前で、
語り手はのびのびと豊かに物語を語ることができる。

その場の澄んだ空気が画面から伝わってくるようでした。


主客でひとつの時間、
ひとつの空間を一体となって作り上げる、

茶道で使われる
「一座建立」という言葉を思い出しました。

こころの通い合う場を持つということ、

日々のなかでいかに持てるのか、
心して今日を過ごしたいと思いました。







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Posted by マルウチ at 18:25│Comments(0)映画
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