2016年08月03日
日本の住宅

例によって、
行き当たりばったりの読書。
和楽民芸店の物置にあった古い文庫本の山の中から、
暇つぶしに手に取ったのは、
沢村貞子の「私の浅草」。
生まれ育った浅草での
小学生から女学校くらいまでのエピソードが綴られています。
お母さんが手塩にかける漬物。
その鉢や周辺は、
いつも拭き清められていた。
雨が降ると、
弟たちは箪笥の引き出しを階段状に開けて、
登っては飛び降りバタンバタンと1日中遊んでいた。
それをお母さんは、雨の日は仕方がない。
細かいことを叱ると、
小さい男に育つと、全く口出ししなかった。
下町の人々のエピソードの中に
床や柱や建具の音や手触りが感じられ、
暮らしの風景が見える気がしました。
「貧しいけれども本物がある」
それに対して現代の住宅は、
「豊かだけれど偽物に囲まれている」
そんなことを思いながら読んでいました。
そして、
鷹匠町の水曜文庫で目に止まった
「笑う住宅」
石山修武 著
「私の浅草」を読みながら感じていた疑問に答えるかなような!
建築家の事務所を訪れる人々。
ハウスメーカーの家が高すぎるので、
なんとかならないかという相談。
これはおかしい!
設計料がプラスされ割高になるはずの建築家に相談に来るとは?
工場で大量生産された部品を使って家を建てるメーカー
ならば、安く建てられるはずでは・・・
それは、
メーカーは、大量生産で下がった部品のコストを、
顧客に還元せず会社の規模を大きくすることに費やしているから。
大量生産しやすいようなデザインや素材に囲まれた現代の暮らし。
何十年もの住宅ローンに縛られているというのに。
この本で紹介されているように、
市販されている部品を使って自分で家を建ててしまえばいいのだけれど、
なかなかできるものではないです。
そこで私がお勧めしたいのは、
いい家具を一つ置いてください。
えっ、うそっ!
まるで家具屋の宣伝か!
そうその通りなんです。
本当に宣伝したいです。
この頃、本当につくづく思うのです。
やっと気がつきました。
いい家具を一つ置くだけで家が変わるんです。
静岡にはいろんな家具メーカーがあります。
意欲のある若い職人さんもいます。
ぜひぜひ訪ねてください。
こんな結論になってしまいました。
