2009年07月04日
愛を読む人

映画「愛を読む人」
演技者がそれぞれ素晴らしく、
心の動きが細やかで引き込まれました。
ケイト・ウィンスレットの演技には感服。
少年時代のマイケル役、新人デヴィット・クロスは文句なし。
優しさと弱さゆえの決断を背負い、
朗読したテープをハンナに送り続ける主人公マイケル。
若い頃に受けた心の傷を引きずり、
あらゆる人間関係をうまくつくってゆけないまま、
人生を送ってきた男。
つい、こういう男にはキビシイ評価をしてしまいます。
むしろもう一人の主人公ハンナの生き方には共感できます。
ハンナがナチの親衛隊に入ったのは
たぶん十代のころ。
同じ頃、日本でも軍国主義の中、
ほとんどの人が疑いもなく、
軍国少年、軍国少女に育っていた。
彼女が、職を求めてナチに入ろうとしたのも
当時としては特異なことではなかったのでは。
日本軍が中国を侵略するとき、
アメリカがベトナムに上陸するとき、
イスラエル軍がパレスチナ人に対するとき、
時代、国を超えて、
驚くほど、兵士は同じように教育されている。
「相手は、自分たちより劣った人間だ。」
「同じ人間ではない。」
戦争は、つまるところ
相手をいかに効率的に殺すかということ。
非人間的なその行為を、
感情ををコントロールしていかに行えるか。
どんな戦争にも賛成するということは、
それを認めることだと私は思う。
ハンナの戦争中の行為もその状況の中で
職務として行われたもの。
60年以上も平和が続いた日本。
それには、知恵と努力が必要だったはず。
しかし、憲法9条、非核三原則を
見直そうとする動きなどをみると、
私たちもいつ、
ハンナと同じ立場になるともかぎらない。
自分なりの責任の取り方をするハンナ。
マイケルに再会したとき何を感じたのだろう。
ラブストーリーだったのかもしれない、
でも私はこの映画を観て、
戦争のことを主に考えてしまいました。
Posted by マルウチ at 14:13│Comments(0)
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