春になると当然のように柳は緑の葉を芽吹かせ、 花は深紅の花を咲かせる。 このあたりまえの事実を、宋の詩人、蘇東城は 「柳は緑、花は紅、真面目(しんめんもく)」と詠じた。 柳は緑、花は紅この当たり前のことが、 とりもなおさず、真理の実相だと、蘇東城は言う。 そういう目で見れば、 見渡す限り真理の実相でないものはない。 まさにすべては草木国土悉皆成仏であり、 仏性の顕現にほかならない。 花は色とりどりに咲き誇り、 自然の営みにすべてをゆだね、 一瞬一瞬をあるがままに生きている。 その草や樹木の姿に、限りない生命の息吹を感じ取り、 「真の面目」と賛嘆している。 人はもとより宇宙における一切の存在は、 すべてに平等で尊厳な存在といえる。 なおかつ、平等でありながらそれぞれが個性を持って存在している。