2015年04月21日

小さいおうちの恐怖

小さいおうちの恐怖



図書館で目にとまった一冊。

映画化されていたことは知っていましたが、
とくに予備知識はなく、

きれいな装丁に惹かれて読んでみました。



昭和初期、戦時中の東京。

郊外に建つある中流家庭で、
女中として働いていたタキの手記。

タキさんの回想が生き生きとして、
その家や時代の空気がみずみずしく伝わってきました。

大叔母のノートを
時折やってきては盗み読みする甥、

(甥からすると、大叔母が読ませたがるらしい)

彼の感想は、現代に生きる私達を代弁していました。


ストーリーの本筋は、

奥様の恋愛事件や、
宛名のない手紙の謎、
恋愛の第3の道、

なのですが、

私はこの本を読んでいる間、
心地よさとともに、
いいようのない恐怖を感じていました。

心地よさは、

タキさんが自分の仕事を心から愛し、
知恵を絞り、手間を惜しまず、
一家の暮らしを支えている姿に惹かれました。

恐怖は、

昭和6年には満州事変がおこり、
太平洋戦争へと進んでいくまさにそのさなか、、

人々が国の置かれた状況を知らず、
平安に暮らしている様子がリアルなことでした。

今の私達も、
平和を享受しているつもりで、

実は似たような状況に陥っているのかもしれない。
そんなことを思いました。

もう一人の重要人物、
夢見るように生きていた青年板倉さんが、
従軍し、戦後深い闇を背負って生きる姿にも、
恐ろしさを感じました。















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Posted by マルウチ at 09:52│Comments(0)
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