2008年09月26日
ローマ帝国滅亡
1992年から、一年に一巻づつ、十五年かけて執筆されて
きた「ローマ人の物語」。2年前には、すでに第15巻「ロー
マ世界の終焉」は刊行されてシリーズは完結しているので
すが、なにしろ図書館で借りて読む身、そう簡単には新刊
は読めません。
都市国家から始まり、ヨーロッパ、北アフリカ、中近東にま
たがる大帝国に広がったローマ。一千年以上の長寿を享
受し、帝政時代にはその広い地域で二百年もの間戦争が
なかった「パクスロマーナ(ローマによる平和)」を実現した
帝国。いよいよ、その滅亡の時、どのように滅亡したのか
興味深く読み進みました。
北方からの蛮族の侵入が激しさを増し、もはやパクスロマ
ーナは機能しなくなっていた4世紀。
キリストの処刑から300年、迫害を受けながらもローマ国
内に信者を増やし、とうとう国教になったキリスト教。自分
が信じているのは正しい教えであるから、他の人もそれを
信ずるべきという一神教の考え。八百万の神をまつる日本
人にも近い多神教のローマ人がキリスト教に改宗していっ
たのです。
ローマ滅亡後、中近東ではマホメットが布教を始め、また
たくまに中近東の国々はイスラム化していきます。隣接し
た地域に二つの一神教の大きな勢力。それに、ユダヤ教
も加わって、今日にまで至る歴史。
国が滅亡の危機を迎えているとき、皇帝になろうとする人
はよほどの施策を講ずるのかと思いきや、単に権力の座
に着くことに執着し無能さをさらけ出すばかり。折しも、日
本の新総理大臣も決まったところ、こちらはどうなんでしょ
う。でも、有能なリーダーが現れても、自己の利益のみ優
先する人々には理解されずに失脚してしまったり。
「羽を一本一本抜きながら美しい織物を織り上げていった
夕鶴のつうのよう。丸裸になった気がします。しばらく休ん
で羽をはやさなければオーブンに入れられそう」
2006年、ローマ人の物語の幕を閉じるに当たっての著者
塩野七生氏の言葉
私は、2002年から読み始めたので6年のつきあい。とうと
う読み終わってしまったという感じです。しばらく休んで、も
う一度美しい織物を開いてみたいと思います。
巨大なローマ遺跡の前にたたずみ、古代ローマの人々に
思いをはせる・・・いつかそんな旅ができたらいいなあと密
かに思っています。
Posted by マルウチ at 11:45│Comments(0)
│本