2011年02月10日

売れ残りの本に福あり

先日東京行きの新幹線に乗る前、
読みかけの本を忘れたことに気づき、
静岡駅の書店に立ち寄った。

一度は通りすぎてしまったほど、
以前より売り場は小さくなっていて、

さみし~い品揃え。

売れ残った本、
電車に乗る前の時間のない中、
選択する余地のないお客に買わせようって魂胆か~?

うわー買うものないじゃん!

でも、活字がないのは寂しい。

悩んだあげく、
まあこれも出会いかと手に取ったのが、

世界一の映画館と
日本一のフランス料理店を
山形県酒田市につくった男は
なぜ忘れ去られたのか


という超~長い題名の本。

著者は、岡田芳郎。

・・・知らないなあ。

1960年代淀川長治らに「世界一の映画館」
と評されたグリーンハウス。

そして食通をうならせたフランス料理店。

これらを酒田市につくった佐藤久一が主人公。

地元の名家に生まれた久一は、
若くして映画館の支配人を任される。

最新の機材を導入し、
溢れるアイデアと行動力で
観客を楽しませる映画館をつくり上げていく。

後に料理の世界に転身してからも、
このスタイルは変わらず、
全国から人が訪れるレストランに育てていく。

ゴージャスで完璧主義。
金に糸目をつけず、美意識が高い。

やはりこのスタイルは無理があり、
後年赤字の膨らんだレストランからは
引退せざるをえなくなる。

晩年はアルコール依存症に陥り、
67歳で死を迎える。

すばらしい仕事をしたが、
人に迷惑も掛けた。

でも、こういう人生もアリかと、
読後はさわやかさが残る。

現代にも通じるアイデアの数々。
何十年も前に実践していたなんて、
時代を先取りというより飛び越していた、
やはり天才なんだろうなあ。

これも出会い、
縁ですわ。

読んでよかったですよ。



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Posted by マルウチ at 11:07│Comments(0)
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